悪い円安 → スタグフレーション → 恐慌

 
安倍政権以降、日本円が30%以上も値下がりしても輸出量が増えないのは、
 
アベノミクスの判断ミスと見ることができる。
 
日本経済の構造変化を見逃したからだ。
 
日本は2011年、31年ぶりに貿易赤字国に転落した。
 
輸出より輸入が多い状況での通貨下落は貿易赤字をさらに拡大させる。
 
円安で輸出を画期的に増やすことができればよいが、
 
日本製品の国際競争力は以前のようではない。
 
電気・電子産業は2013年から貿易赤字に転じた。
 
電子部品の輸出増加もスマートフォン・テレビなどの輸入がはるかに多いからだ。 

自動車も海外生産費率が約70%にのぼり、円安効果を期待しにくい。
 
8月の自動車輸出台数は前年同月比7.6%も減少した。
 
海外生産が拡大し、産業競争力が落ちた状況で、
 
円安はもはや日本経済の救援投手ではない。
 
半面、円安による輸入物価上昇は国内経済を圧迫している。
 
原材料価格の上昇が消費者物価の上昇はもちろん、
 
原材料依存度が高い中小企業の収益も圧迫している。
 
輸出大企業の利益増加とは対照的だ。いわゆる「悪い円安」だ。
 
このままだと、不況下のインフレーションとなる。
 
これは、最悪だ。
 
年金がもらえるとかもらえないとかの問題ではなく
 
社会保障制度の崩壊に他ならない。