派遣法改正 「立場いっそう弱く」現場危惧…日本経済に明日はない


労働者派遣法改正案は、政府側が「キャリアアップにつながる」と強調する一方、

3年で職を失う派遣労働者が生まれる可能性がある。

専門26業務」と呼ばれる職種では、

現在の派遣法では同じ職場でずっと働けるが、

改正後は派遣期間の上限が一律で3年となるためだ。

「いっそう不安定な立場になる」。

派遣の現場から懸念の声が聞かれた。ただ、

26業務を含む全ての派遣元に教育訓練などを義務付けたことで、

正社員になりやすくなるとの指摘もある。

 「セーフティーネットがないまま、はしごを外されたようなもの」

「これからの人生の希望が失われた」

 厚生労働省で19日に行われた記者会見。

26業務に携わる派遣労働者から切実な訴えが続いた。

派遣の秘書として昨年から海運会社で働く都内の女性(40)は

「現在も3年働けるという保証はないのに、

これまで以上に不安定で弱い立場になってしまう」と嘆く。

 女性は20代前半から複数の会社で役員秘書を務めてきた。

26業務の一つだが、派遣先の合併やリストラなどで、

同じ会社で長期間、働けたことはない。現在の月収は20万円弱。

賞与もなく、正社員と同じ時間働いても、収入は半分以下という。

5月、派遣元に待遇の改善を求めたところ

「あなたの仕事は6月22日まで」と宣告された。

 女性は「当然の訴えをしただけでモノ扱いされ、

切られてしまう。それが現実です」と話した。

 26業務で働く有期雇用の派遣労働者は約40万人。

地域によっては、同様の仕事が少なく、

簡単に転職できないケースも想定される。

 群馬県の50代男性は約16年間、

県内の電子製品関連会社で、

26業務の機械設計の仕事に従事。

次の更新時期で、契約が打ち切られるのではないかと危惧する。

 「5年、10年かけてスキルを上げてきた。

3年でマスターできる仕事ではない」と自らの技術に自信を持つが、

正社員にしてもらえないか会社に打診したところ

「あなたの学歴と年齢では難しい」と言われた。

これまでの実績を売りに会社を移ろうにも、

地域には同様の仕事は少ない。

「1人暮らしする母親のことも気になり、

地元に残るしかない。働きたいのに仕事がない」と憤った。

 一方、改正案では26業務を含む全ての派遣元に対し、

計画的な教育訓練や職業能力開発に関する相談を義務付けた。

また、現行法では26業務以外の場合、

複数の派遣労働者で期間の3年を分け合うケースもあったが、

改正後は1人につき3年働けることになる。

こうした点から「職業能力を高めやすく正社員化の道も開ける」

人材派遣関連団体幹部)とメリットを指摘する声もある。

産経新聞 2015.6.20配信

決して安定した立場が無ければ、キャリアアップにつながらない。

はっきりメリットなどないと思う。

松下幸之助氏曰く「退職金は前渡ししてあげるから、自分を磨け」と

社員全員に話していた事を思い出す。

隔世の感がある。労働者のグローバル化が進んでいる。

こんな不安定な職場環境が増えると、収入は減少する。

勿論労働者は、年金等を支える人々でもある訳ですから、

年金制度が根底から覆る様な大変なことになる。

人を切り捨てる、日本経済に明日は期待できない。