生活保護法改正案廃案 毎日新聞より

生活保護法>改正案廃案、給付削減だけ先行

毎日新聞 6月26日(水)22時5分配信
 
生活保護法改正案が26日、
参院での安倍晋三首相に対する
問責決議可決の余波で廃案となった。
同法案は不正受給への罰則強化など
「締め付け」を狙う一方で、
やはり廃案となった生活困窮者自立支援法案
とともに失業者らの就労・自立を支援する側面もあった。
政府は既に決めた8月からの保護費減額については
両法案の成立を前提としていたが、
廃案により保護費カットだけが残る形となった。

8月以降、保護費のうち生活費にあたる
「生活扶助費」が3年かけ最大10%減額される。
小学生と中学生の子どもがいる都市部の40代夫婦の場合、
月額(現行22万2000円)が8月には
21万6000円、2015年度には20万2000円に下がる。

にもかかわらず、両法案の廃案で就労自立給付金の
創設なども見送られる。
受給者の労賃の一部を積立金とみなし、
保護を抜けた際に支給するものだ。

廃案との結果に連合は「生活困窮状態から
脱却できるセーフティーネットを構築するに
至らなかったことは極めて遺憾」との談話を出した。
困窮者支援に取り組む社会福祉士は「課題はあるが、
法案には必要な就労、
学習支援が盛り込まれている」と指摘した。
一方、受給者の身体障害者の男性(52)は
「物価を上げようとしながら
保護費を減額するのはおかしい。
減額もやめるべきだ」と話す。

もっとも、生活保護法改正案は申請時に
扶養義務がある親族の状況を文書で
提出することを義務付けるなど、
受給のハードルを上げかねない内容も多く含まれている。
NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の
稲葉剛代表理事は「廃案を歓迎したい」と評価した。
ただ、各地の支援団体には法改正に先行し
自治体が締め付けを強めているとの情報が
多数寄せられており、「再提出される法案はさらに
厳しい内容になるのでは」との不安も広がっている。
 
【遠藤拓、佐藤丈一】